文明のはじまりから終わりまで、ゆるい語り口のまま全17話でたどります。
くさび形文字が生まれた目的はロマンティックな詩ではなく、ビールと大麦の在庫管理。伝説の王ギルガメシュも、この頃のウルクの人物がモデルとされる。
ウル・ウルク・ラガシュ・キシュなど、シュメール人の都市国家が乱立し、水や土地をめぐって抗争を繰り返す。統一国家はまだ影も形もない。
世界初の帝国を築いたサルゴン王は、自伝に「生まれてすぐ籠に入れられ川に流され、拾われて育った」と記す。まるでヒーロー誕生譚。孫ナラム・シンの代に最盛期を迎えるも、その後あっけなく崩壊した。
ウル・ナンム王が、ハンムラビ法典よりも古い法典を制定。「目には目を」より先に、実はもっと穏当な罰金制のルールが存在していた。
ハンムラビ王が有名な法典を作った同じ時代、粘土板には「羊とビーツの煮込み」のレシピもきっちり記録されている。人類、法律とレシピをほぼ同時に発明した。
ヒッタイトが遠征してきて、あっという間にバビロンを陥落させ、そのままサクッと帰っていった。古バビロニア王国、まさかの呆気ない幕切れ。
派手な事件はほとんど記録されていないが、カッシート人がバビロンを長期にわたり安定して統治した。歴史は、事件がない時代の方が実は長い。
まだ主役ではないが、アッシリアが着々と地域大国への足場を固めていく、いわば雌伏の時代。
新しい宮殿のお披露目にとんでもない量のごちそうを振る舞い、その全メニューを石碑に堂々と刻んだ。歴史上もっとも豪華な「始まりました」投稿。
派手な逸話はないが、行政と軍制を大改革し、帝国拡大の土台を作った縁の下の力持ち。
ニネヴェに遷都し、エルサレムを包囲。碑文には「ヒゼキヤ王を鳥かごの鳥のように閉じ込めた」と誇らしげに書くが、実は「陥落させた」とまでは書いていない。さらに反乱に激怒してバビロンを完全に破壊する。
父センナケリブが破壊したバビロンを丁寧に再建。一方で体調が気になりすぎて、毎日のように占い師や学者に相談していた手紙が大量に残っている。
自ら文字を学び、ニネヴェに巨大図書館を築いた。おかげで『ギルガメシュ叙事詩』は4000年の時を超えて今の私たちの手元に届く。一方で実の兄との内戦も制し、宮殿には豪華なライオン狩りの浮き彫りを残した。
かつてバビロンを滅ぼしたアッシリアが、今度はバビロニア・メディア連合軍にニネヴェを滅ぼされる。因縁のリベンジ劇、ついに成立。あれほどの大帝国が、わずか数年で地図から消えた。
新バビロニアの最盛期を築いた王。エルサレムを征服し(バビロン捕囚)、青く輝くイシュタル門を築いたのは史実だが、世界七不思議「空中庭園」を本当に彼が作ったのかは、今も歴史家の間で意見が割れている。
伝説によれば、最後の王ベルシャザルが宴の最中、壁に浮かび上がった謎の文字「メネ・メネ・テケル・ウパルシン」を見て震え上がったその同じ夜、ペルシャ軍がバビロンを陥落させたという。
💡 英語の「the writing on the wall(先行きが見える悪い兆し)」は、この逸話が語源ペルシャのキュロス大王は、実はほとんど戦わずにバビロンを手に入れたと伝わる。その後アレクサンドロス大王がペルシャを征服し、遠征の果てに、他でもないこのバビロンで客死した。
メモ魔から始まり、捨て子の帝王、グルメな法律王、宴会王、やっちゃった王、読書王、そして壁の予言まで——メソポタミアの歴史は、3000年かけて綴られた、意外と人間くさいドラマの連続でした。